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010 邂逅

ผู้เขียน: 栗須帳(くりす・とばり)
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2026-03-09 11:01:01

「おえ本田、もうすぐやさかいにな、左に寄っとけ。ほんでちょっとスピード落とせ。そろそろやで……おえ本田っ! 聞こえへんのか! スピード落とせっちゅうとるんや! 左に寄れっちゅうとるんや!」

「本田」

藤原が本田の顔を覗き込むと、本田は唇を異様に歪ませながら笑っていた。

「うひっ……うひひひひっ」

「おい健、あかんわ。こいつ、完全に頭飛んどる」

「な、何やと……」

「うひひひっ……だ、誰にも負けへんで……ぼ、僕が一番速いんや……」

東三国の標識が見えてきた。

しかし本田は車線を変える事なく、そのままアクセルを踏み倒す。

あっと言う間に東三国を通過した。

「あ、あかん、キレとる……おい健、こんまま行ったら梅田まで行ってまうぞ」

「んなアホな……」

健太郎が頭を抱えた。

「こんなん、頭吹っ飛ばしたらしまいやんか」

言うか言わないか、直美がSIGを本田の頭に向けた。

健太郎が慌ててそれを止める。

「何すんのよ健太郎、こうでもせんかったらこいつ、止まらへんやろ」

「いやいや直美ちゃん、それは最後の手段にさせてくれ」

「ほんだらどないすんのよ」

「おえ藤原、本田の頭、本気でどついたれ」

「よっしゃ!」

藤原が一切加減なしで、本田の後頭部を殴った。

「がっ……」

その衝撃は、本田の意識を一瞬で飛ばした。

しかし右足だけはしっかりとアクセルを踏んでいる。

そこに続けて健太郎が腹にエルボーをぶちかます。

「ごっ……」

飛んだはずの意識が、腹への衝撃で戻ってきた。

口から今朝の朝食が勢いよく吐き出される。

しかしまだ車のスピードは緩まない。

「直美ちゃん、今や」

「よっしゃ!」

背後から直美のチョークスリーパーがきまった。

「ごげげげ……」

本田が舌を突き出したまま痙攣し、そのまま失神した。

「ほいっ」

直美が首を抱えたまま、本田を後部座席に投げ飛ばす。

そして素早く運転席に飛び移った。

「スピンターン決めるでっ!」

「おおっ!」

「頼むでっ!」

と、その時だった。

直美の目の前にガードレールが現れた。

直美がブレーキを踏み倒す。

ロックしたタイヤが白煙をあげる。

「あかんっ! みんな、気合入れてしがみつきっ!」

車はそのまま、ガードレールに激突した。

* * *

「……あかんわ、全然動けへん」

直美が何度もキーを回すが、エンジンは全く反応しなくなっていた。

「……ったく、このアホのせいでえらい大回りになってしもたで。おかげで俺の計画ぶち壊しや。こんなんやったら初めから阪神高速〈はんこう〉使った方が早かったやないか。ジープもおしゃかにしよってからに」

「ごめん……」

「まあええやんか、とりあえずみんな無事で何よりや。よし、必要なもん持って戻ろうや、東三国まで」

坂口が間に入ってそう言った。

「そうですね……っておえっ! 何やあれっ!」

健太郎が東三国の方角を指差して言った。

「あ……」

すぐそこにまで、先ほどの白い靄が来ていた。

「……」

健太郎がゆっくりと靄に向かっていく。

ゴンッ!

「お、おおっ……」

健太郎の額に何かがぶつかった。

驚いて靄に手を上げて叩くと、カンカンと音がした。

「何か分からんけど……向こうには戻られへんようやで」

「う~ん、なんかうまいこと敵の術中にはまっていっとるなぁ……しゃあない、新御堂筋〈しんみ〉使うんは諦めようか」

「私はその方がよかったけどね。市街戦やなんて、かっこええやないの」

「腐っててもしゃあない。健、いくぞ」

藤原が健太郎の肩を叩いた。

「……よっしゃ、ほんだら降りるか!」

それぞれの武器を持った5人が、非常用の階段を下っていく。

ショットガンを持つ健太郎を先頭に、ゆっくりと降りていく。

「おえ……気ぃつけよ……気配がやたらとするぞ……」

健太郎が小声でそう言った。

汗が額から頬へと伝う。

舌を唇に這わせ、一歩一歩確かめるように歩いていく。

その時直美が、健太郎の肩を荒々しく掴んだ。

「変態親父、私と代われ。何ちんたら歩いてんねん。そんなにびびっとるんやったら車で寝とけ。私が先に行く。どの程度のやつらか知っときたいしね。銃は……いらんか、まずは肉弾戦で」

「頼もしいのぉ直美ちゃんは」

そう言ってしゃがみ込んだ健太郎が、直美の足をさする。

その瞬間、健太郎の額にSIGの銃口が押し付けられた。

「……おい変態脂肪。石像よりも先に死にたいか……ここでぶっぱなしてあんたが死んでも、誰にも分からへんのやからな。やめるか死ぬか、はよ選び」

直美の人差し指がトリガーに行く。

「じょ、冗談やがな……」

健太郎が汗びっしょりになりながら、ゆっくりと手を上げた。

ふんっ、と鼻で笑いSIGをホルスターに戻した直美が、大股で歩いていく。

降りきった所で直美の前に、一体の石像人間が現れた。

「これが……石像っちゅうやつか」

健太郎が声を漏らした。

「出たな化け物っ……!」

間髪入れず、直美が右エルボーを頬に叩きつける。

そしてバランスを崩した石像に、メリケンサックを装着した拳で顔面に連打した。

顔が見る見る崩れていく。

素早くしゃがみ込んだ直見が足を払う。

「うおおおおおおおっ!」

石像に馬乗りになり、腹に拳を数十発ぶちかますと、やがて粉々に砕けた石像の動きが止まった。

「ふうっ……」

直美が帽子を脱ぎ、額の汗を拭った。

「流石に、こんだけ粉々になったら再生するとしてもええ時間かかるやろ。中々ええ手応えやったわ。これやったら……そうやね、4・5体ぐらいやったらまとめてでもやれそうやわ。うん、大丈夫。ほんなら行くよ!」

直美が目を爛々と輝かせ、市街に入っていく。

「おい健……」

「なんや」

「お前が戦力にしたいっちゅうた理由、よぉ分かったわ」

「そやろ、それも素手やで。しかもあないに喜々として」

「……僕、やっぱり怖い……」

坂口は粉々になった残骸に向け、何やらしていた。

「坂口さん、何してはりますん?」

「ん? ああ、復活せんようにな、聖水かけとるんや」

「……」

「は、はあ……」

* * *

再び石像が現れた。

直美が戦闘態勢に入る。しかし健太郎が遮った。

「直美ちゃん、ちょい待ち。いっぺん俺がやっちゃる」

「ほおおっ、せいぜい頑張りや」

「おおさっ!」

健太郎が、体重を乗せた重いストレートをぶちかます。

「がっ……!」

石像は何らダメージを受ける事なく、健太郎に襲い掛かってくる。

「うりゃああああああああっ!」

さっきの直美と同じ要領で、左右の拳を繰り出す。

「があああああああっ!」

健太郎が叫びながら腰から砕けた。

バトルグローブから血が流れていた。

対して石像は、一切ダメージを受けている様子はない。

「あかん、藤原まかせた!」

「よっしゃ!」

藤原が素早く割って入り、石像の顎に掌底を食らわした。

そしてバランスを崩した石像めがけて拳を繰り出し、最後に蹴りを見舞った。

「ごっ……!」

藤原が弁慶の泣き所を抑え、そううなった。

脛のプロテクターが砕けていた。

「な……なんやこいつら、全然太刀打ち出来ひんやないか」

「もう、なんやの男二人がよってたかってみっともない……ちょっとのいとき!」

直美が連打すると、顔面があっさりと砕けていった。

「ほいっ!」

最後に蹴りを一発入れると、石像はあっと言う間に砕け落ちた。

「お、おえ藤原……な、直美ちゃんの拳って、一体どないなっとるんや……」

「拳だけやない、蹴りもや……プロテクターが砕けたんやぞ……大の男が二人でかかってもびくともせんかったのに、あの子一人でああもあっさり……」

健太郎と藤原が、抱き合って後退る。

「あ」

いぶかしげな表情で、直美がそうつぶやいた。

「な、何や、どないかしたんか直美ちゃん」

「何か変な感じやって思てたけど……やっぱりそうやったわ」

そう言って直美がグローブを外すと、特殊セラミック製のメリケンサックが粉々に砕けていた。

「ひ、ひいいいっ!」

再び健太郎と藤原が抱き合う。

「お、おえ藤原……お前、金属バットで課長の頭どついた時、バットがひん曲がった言うてたわな」

「お、おお……」

「今更やけど、直美ちゃんって何者なんや……」

直美はひょうひょうとした顔で言った。

「こんなんなしでもいけるって事やね。大した事ないやんか、石像人間って言うても。でも、あの粉々に砕く時の感触は……癖になりそうやな。また再生するんやったら、一体家に置いときたいわ。なぁ健太郎、帰りに持って帰ってよ」

「無茶言わんといてぇな直美ちゃん」

「何よノリ悪いなぁ。そうや、プロテクターも別になくてもいいか、動き悪なるし。今の内に取っとくわ」

直美がプロテクターを外し、身軽になった体でスキップして進む。

坂口は再び聖水をかけていた。

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